そら組(2歳児)のクラスから、泣き声が園庭に響いていました。
あ!これは、Yくんの泣き声だなぁ〜と思い、様子を見に部屋を訪れました。昼食後のお昼寝の準備をお友だちとおしゃべりしながら進めていましたがYくんは、なかなか次の準備に心を向けられず、そんな中で何度か先生とやりとりがあったようです。お部屋では、にじ組とほし組(0・1歳児)のこどもたちが寝ようとしている時で、先生たちも心配そうに様子を見ていました。なかなか泣き止まないYくんに、このままでは!と思い、「Yくん、先生とちょっとお散歩しようか?」と声をかけてみました。小さくうなずいて自分の手を出してきたので、その手をとり、クラスリーダーの先生とお友だちに「いってきます」の挨拶し、気分をかえるため部屋を出ました。
こんな時に頼りになるのは、ちょっと大きなお兄さんやお姉さんの存在です。
Yくんと手を繋ぎ迷わず2階のくじらチーム(幼児クラス)へ上がって行きました。階段を上りながら、「涙止まらないね。」「2階のお兄ちゃんやお姉ちゃんたち、今なにしているんだろうね。」など声をかけながら2階へあがっていきました。
この時2階では、全クラスでお昼ご飯の時間でした。Yくんが上がってくるのをいち早く見つけたたんぽぽ組(3歳児)は、泣いているYくんを見つけて「どしたの〜?どうしたの??」の質問の嵐!
さくら組とゆり組のこどもたちは、おや?何かあったんだな?と感じながら、Yが近くに来た時に何人かのお友だちが優しい声で次々に「どうしたの?」と声をかけてくれていました。
その様子から、よし!これなら大丈夫!と思ったので、お兄ちゃん、お姉ちゃんであるこどもたちの力をかりることにしました。
園:「さて、先生が手を繋いでいるお友だちは誰でしょう?」
子:「Yくん」
園:「正解です。」
園:「では、なぜ?Yくんは泣いていると思いますか?」
子:「ご飯食べれなかったの???」
園:「そうなんです。」
と言い、2階にきた流れをこどもたちに説明しました。
そして、「どうしたらいいと思いますか?」と聞くと・・・
子:「涙をティッシュで拭いてあげたらいい!」「頭を撫で撫でしてあげたらいい!」等々、順番にこたえてくれました。
みんながYくんに声をかけてくれるうちに、Yくんの涙は止まったものの口は尖ったままです。そんな時に・・・子:「自分で泣き止むしかないよ。」と!ひとりのお友だちが言いました。
その言葉をYくんの顔を見ながら、「自分で泣き止むしかないよ。と教えてくれたね!どうする?」と伝えてみました。
すると尖がっていた口が元に戻り、どうやらこのことばがYくんの心にストンと落ちたようです。
その後、ほかのお友だちから、子:「お部屋に戻ってお昼寝しておいで。頑張ってね」と声をかけてもらいました。
さぁ、これで大丈夫!くじらチームにありがとうを伝えると、みんなが「Yくんバイバーイ♪」と送り出してくれました。2階から降りる階段で、また不安な気持ちが戻ってきたのか!下唇がとがり始めてきました。そこでもう一度、お兄ちゃんとお姉ちゃんたちの言ったことを伝えて「どうする?」と聞いてみました。するとすぐに唇は収まり、お部屋に戻ると「おかえり~」と先生やお友だちに迎えられてホットしたYくんは、その後、気持ちよくお昼寝することができました。
毎日の園生活で、日々こどもたちの育ちの物語が繰り広げられています。愛光で大切にしている異年齢の育ち合いの展開は、深まる秋の風景と重なっています。さて11月には、どんな物語が広がっていくことでしょう~
園長 多胡淳子